墓じまいとは
近年、墓じまいを考えたり、実際に行う人が急増しています。これは、少子高齢化、墓の後継者不足など様々なことが原因となっています。
実際、墓じまいを考えた時に以下のような疑問が出てきませんか?
■墓じまいって何からやればいいの?
■お寺にはいくら払えばいいの?
■トラブルにならないようにするためにマナーなどが知りたい
実は、こうしたことを知らずに、寺側と墓じまいについてトラブルになったり、高額な離檀料を支払わされたり、結局お骨を返してもらえなかったなどのトラブルが起きているようです。
こうした墓じまいの際にトラブルにならないために、お寺側にお渡しするお布施の相場金額、墓じまいの流れ、墓じまいの際に気を付けるべきマナーについて住職が解説をします。
お布施以外にも必要な費用がありますので、併せてご紹介していきます。
トラブルにならないためにも、重要なことはしっかりと知っておきましょう!
・墓じまいをする際のマナーや注意点、料金がわかりトラブルを避けることができる
そもそも墓じまいとは?基礎知識と準備編
墓じまいとは、先祖や故人が眠る墓を撤去し、墓地の契約を解除することを指します。近年、少子高齢化やライフスタイルの変化により、墓じまいを選択する人が増えています。
しかし、墓じまいをする際の手続きには多くの注意点や費用が伴います。
1、相談の場を設け親族(兄弟・姉妹など)の同意を得る
2、自治体のホームページ等で改装のための必要書類を確認する
3、新しい納骨先を探して決める
4、墓地管理者へ連絡し改葬の旨を伝えておく
5、改葬許可証を取得する(行政での手続き)
6、墓石の併願供養(魂抜き)を行い、ご遺骨を取り出す(閉眼供養)
7、墓石を撤去し解体工事を行う
8、新しい受け入れ先に納骨する
お墓には、納められている方々の魂が宿っているので、撤去前には閉眼供養を行い、亡き人の魂を抜く必要があります。
また、新しいお墓に納骨をする場合、お墓に魂を入れる開眼供養を行います。閉眼供養、開眼供養の際は僧侶に読経してもらうため、お布施をお渡しするのが通例です。
お布施以外に御車代や御膳料、そのほか不随する費用が必要になる場合もあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
親族間のトラブルになりやすいのは、1の同意を得るステージ。
内容をしっかり録音し、覚書などを交わしておくと確実です。
墓地のタイプ別にみる、墓じまいの捉え方の違い
基本的にお墓のタイプは、「寺院墓地」「公営霊園」「民営霊園」の、大きく3タイプに分けられます。
このタイプによって、行うべきことが変わってきます。まずはそれぞれのタイプについて、理解を深めていきましょう
寺院墓地
寺院墓地とは、いわゆるお寺が管理・運営を行う墓地です。管理者がお寺なので、墓じまいをする際には閉眼供養は必ず必要となってきます。
お寺側が管理する墓地なので、縛りが多く一番ルールを順守する必要があります。
また、お布施のほか、離檀料をお渡しするのが一般的です。状況次第では、御車代や御膳料なども必要になってきます。
実は一番トラブルが多いのがこの寺院墓地であり、料金の変動が大きいとも言われています。
公営霊園
公営霊園は、自治体が管理・運営を行う墓地です。寺院墓地と違い閉眼供養は必ず行わなければならないものではありません。
しかし、供養という観点から見るときちんと行っておくのが良いといえるでしょう。
公営霊園では、菩提寺などお世話になっている僧侶にお越しいただくことになります。お布施のほか、御車代や御膳料をお渡しする準備をしておく必要があります。
このような特定の寺院とのつながりがない場合、住職派遣サービスで対応できる場合があります。
民営霊園
民営霊園は、宗教法人や社団法人から委託された民間企業が管理・運営を行う墓地を差します。
こちらも、閉眼供養は必須ではないのですが、撤去作業を行う業者に断られたり敬遠される可能性があるので、やはり行っておく方が無難です。
僧侶にお越しいただく場合は、お布施のほか、御車代や御膳料をお渡しする準備をしておく必要があります。
墓じまいにかかるお布施の料金
さて、墓じまいで一番気になるのがお布施はいくらくらい包めばいいのかという点。
これは一概に言えないところもあり、お布施はお寺との関係性や目的によって金額が変わりますが、ここでは、お布施の一般的な相場を紹介します。
閉眼供養のお布施
お墓を撤去してご遺骨を取り出す前には、お墓から魂を解放するための重要な儀式閉眼供養を行います。閉眼供養には僧侶が関わり、お布施を渡すのが通例です。
お寺との関係が深い場合、お布施の相場は3万円から10万円程度となります。また、檀家である場合には、別途離檀料がかかることもあります。
離檀料については後ほど詳しく説明しますが、閉眼供養のお布施と合わせて総額を考慮する必要があります。
公営霊園や民営霊園のお墓を持っている方は、どの僧侶に依頼すれば良いのか悩むこともあるでしょう。そうした場合、インターネットで僧侶を手配する方法もあります。この場合のお布施は、3万円から5万円程度が一般的な相場です。
開眼供養のお布施
墓じまい後にご遺骨を新しい納骨先に納める際、魂を入れる開眼供養を行います。
閉眼供養を個なう場合、お布施は以下の通りです。
寺院墓地の個人墓 5,000円~1万円程度
公営霊園や民営霊園の場合→5,000円~1万円程度のお布施をお渡ししましょう。
お布施のほかにかかる費用
一般的に僧侶に渡すお布施意外に、お車代や御膳料がかかる場合があります。
お車代 | 5,000円~10,000円 |
御膳料 | 5,000円~10,000円 |
一般的には距離の有無にかかわらず交通費として、僧侶に5,000円~1万円程度御車代をお渡しします。
※お墓があるお寺で閉眼供養を行う場合、僧侶が交通機関を利用していないので御車代をお渡しする必要はありません。
また、閉眼供養後に会食がある場合、基本的には住職をお呼びするので御膳料は不要となります。
しかし、僧侶が会食に参加しなかった場合はお食事代として5,000円~1万円程度の御膳料をお渡しします。
会食にまつわる裏話ですが、住職の多くはこの手の会食に招かれることが多いため、あえて不参加にして御膳料を現金で受け取りたがる僧侶が多いです。
また、会食となれば親戚の中に住職がポツンと一人いることに気を使うという意見も多いのですよ。
墓じまいにかかる離檀料とは
そもそもお寺とのつながりがある場合は、代々菩提寺の檀家に所属しているということになります。その檀家から離れることを離檀と言い、その時に発生するのが離檀料。
これまでお寺にお世話になった感謝や檀家を離れるための正式な手続きを完了であり、形式的なものとも言えます。
離檀料の相場は、お寺との関係性によって変化しますが、一般的に3万円から20万円程度と言われています。
長年にわたりお世話になっていたお寺の場合は、それ以上の金額を求められることもあり、この辺りはお寺側の匙加減と言えます。
実は、一番トラブルの種になるのがこの離檀料。
お寺側とすれば、お客を手放すわけですから、そこで
しっかりとお金を払わせるという精神のお寺も多いのが現状。
また、寺側とのトラブルが原因で離檀する場合には、さらに高額を請求されたりした事例もあるようです。
墓じまいのマナー
次に墓じまいについてのマナー全般のお話です。墓じまいの際のマナーは、感謝と敬意を持って対応することが大切です。お布施の包み方や渡し方、友人や知人としての立ち会い方など、細かなマナーを守ることで、ご先祖様や僧侶に対する礼儀を尽くすことができます。
お布施編
墓じまいの際にはいくつかの重要なマナーがあります。今回は、特にお布施に関するマナーについて詳しく説明します。
お布施の包み方
まず、お布施はどのように包むかが大切です。お布施は不祝儀袋に包むのが一般的です。不祝儀袋は、コンビニや100円ショップでも購入できる封筒で、葬儀や法事などの弔事で使用されます。万が一不祝儀袋が準備できない場合、郵便番号が印刷されていない白い封筒を使うこともできます。
表書きの書き方
不祝儀袋の表書きには「御布施」と書き、下には差出人の名前をフルネームで記入します。すでに「御布施」と印字されているものを使っても問題ありません。筆やペンは薄墨を使用して書くのが一般的です。
お札の入れ方
お札は肖像画が表向きで、上向きになるように袋に入れます。香典とは違い、墓じまいの際には新札でも古いお札でも構いません。ただし、汚れているお札は避けましょう。
裏書の書き方
裏書には、お布施の金額と差出人の住所、名前を記入します。もし中袋がある場合は、金額は中袋に書きます。金額は旧字の漢数字を使います。例えば1万円の場合は「金壱萬円也」と書きます。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングも重要です。供養の前後が適切で、儀式の途中に渡すのは避けましょう。供養の前に渡す場合は、僧侶が到着して挨拶をする時に渡します。供養の後に渡す場合は、読経が終わった後に渡すのが良いでしょう。
切手盆や袱紗の使い方
お布施を渡す際には切手盆や袱紗を使うと良いです。切手盆は黒塗りのお盆で、家紋がある場合は自分の方に向けます。お布施を切手盆に乗せ、僧侶に渡す時はお布施の文字が僧侶に読める向きに回転させます。切手盆がない場合は袱紗を使用し、お布施を包んで渡します。
友人や知人としてのマナー編
故人の友人や知人が墓じまいに立ち会う場合、香典は不要です。ただし、墓じまいの後にお墓を移す場合は、建碑祝いとして祝儀袋を用意するのがマナーです。新しいお墓がまだ建っていない場合、改葬式や納骨式の際には不祝儀袋を使い、表書きは「御仏前」や「お供え」とします。
服装編
閉眼供養と納骨式の服装
墓じまいの際には僧侶が立ち会うため、基本的に喪服を着用するのが礼儀です。もし喪服がない場合でも、略式喪服やダークカラーの落ち着いた服装を選びましょう。お子さまの場合は、学生服や黒、紺などの控えめな色の服装が適しています。
開眼供養や建碑祝いの服装
開眼供養や建碑祝いはお祝いごとにあたるため、喪服を着る必要はありません。しかし、派手な服装は避け、落ち着いた装いを心掛けましょう。これにより、礼儀をわきまえた姿勢を示すことができます。
アフターフォロー編
ご挨拶状の送付
墓じまいを終えた後は、ご挨拶状を親族や故人の知人、友人に送るのが一般的です。ご挨拶状の内容は、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 時候の挨拶:季節に応じた挨拶文で始める。
- 墓じまいの報告:墓じまいをしたお墓の住所や時期を記載する。
- 新しい納骨先:新しいお墓の住所を明記する。
- 墓じまいの理由:簡潔に理由を説明する。
- 結びの言葉:感謝の意を込めた結びの言葉で締める。
ご挨拶状は、慌てずに送付できるよう、閉眼供養を行う前に早めに準備しておくのが良いでしょう。
墓じまい後の永代使用料返還について
墓じまいを考える際、多くの方が気になるのが永代使用料の返還についてです。お墓を購入する際に支払った永代使用料(お墓の土地を使用するための料金)は、墓じまいの際に返還されるのかどうか、詳しく見ていきましょう。
永代使用料とは
永代使用料とは、お墓が建っている土地を長期間使用するための権利を購入する際に支払う料金のことです。これは、お墓を建てる際に必ず発生する費用で、多くの人が一度は支払っています。
よく似たもので永代供養料というものがありますが、こちらは永代にわたって供養する際に支払うものであり、永代使用料とはことなるので、注意が必要です。
永代使用料の返還について
墓じまいをする時、この永代使用料が返還されるかどうかは、寺院や霊園によって異なります。残念ながら多くの場合、永代使用料は返還されないことが一般的です。
例えば、ある寺院では永代使用料の返還は行わない一方で、別の霊園では一定の条件を満たす場合に限り、部分的な返還を認めるケースもあります
また、契約内容によっては返還される場合もあるので、以下のポイントを確認してみましょう。
- 契約書の確認:
- まずは、お墓を購入した際の契約書を確認しましょう。契約書には、永代使用料に関する返還の有無についての記載があるはずです。
- まずは、お墓を購入した際の契約書を確認しましょう。契約書には、永代使用料に関する返還の有無についての記載があるはずです。
- 寺院や霊園への問い合わせ:
- 契約書に返還についての記載がない場合、直接寺院や霊園に問い合わせてみましょう。返還の可能性や手続きについて詳しく教えてもらえることがあります。
- 契約書に返還についての記載がない場合、直接寺院や霊園に問い合わせてみましょう。返還の可能性や手続きについて詳しく教えてもらえることがあります。
- 返還される場合:
- 返還される場合でも、全額が戻ってくるわけではなく、一定の手数料が差し引かれることが一般的です。
実際にあった!墓じまいのこんなトラブル
次に実際にあった墓じまいの際に起こったトラブルを見ていきましょう。
永代使用料の返還問題
ある霊園では、墓じまいを希望する家族が永代使用料の一部を返還してもらえると説明を受け、手続きを進めたところ、返還されるはずの金額が想定よりも少なかったり、全額返還されないといった問題が起きたケースがあります。契約書の内容や霊園の方針についての誤解や不明確な点が原因で、トラブルが生じました。
墓石の移動や再利用の問題
墓じまいを行った後、墓石を他の墓地や霊園に移動したいと考えた場合、その手続きや許可が得られないことがあります。特定の規制や地域の条例によって、墓石の再利用や移動が制限されていることがあり、これが家族との間での不一致を引き起こすことがあります。
墓じまいサービスをしてくれる業者の紹介
墓じまいやお墓のお引越しを行う際には、手続きの煩雑さや費用の不透明さが課題となることが多いです。
墓じまいを依頼する際には、信頼できる業者の選定が重要です。以下に、墓じまいや改葬を行う際に役立つ業者の選び方を紹介します。
■口コミや評判を確認する
■対応力やスケジュール管理能力を確認する
■契約書の内容をしっかり確認する
墓じまいについて、無料で相談できる会社もありますので、一度問い合わせてみるのも良いかもしれません。
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