墓じまいをしないとどうなる?無視するリスクと正しい墓じまいの方法

近年、少子高齢化や核家族化の進行に伴い、お墓の後継者不足が社会問題となっています。お墓の維持管理が困難になり、墓じまいを考える方が増えていますが、以下のような声を聞くことが多々あります。

■「どうすればいいのかわからない」
■「面倒だから後回しに」
■お寺とのやり取りが大変そう

この記事では、墓じまいを無視するとどうなるのか、そのリスクや将来的な影響について解説します。

ぼーさん
ぼーさん

適切な墓じまいの方法や費用相場についても詳しく説明していきます。

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墓じまいとは?

墓じまいとは、現在あるお墓を解体・撤去し、墓地を更地にして管理者に返還する一連の作業を指します。同時に、お墓に納められていたご遺骨を取り出し、新たな供養方法を選ぶことになります。

この「墓じまい」という言葉には、「お墓を終わらせる」という意味が含まれているため、抵抗感を覚える方も多いでしょう。

しかし、墓じまいは必ずしもご先祖様を粗末に扱うということではなく、むしろ将来的に無縁墓となって荒れ果てるのを防ぐために行う、ご先祖様への敬意を示す行為とも言えます。

墓じまいを無視するとどうなる?

墓じまいが必要であるにもかかわらず、これを無視してお墓を放置するとどのような事態に陥るのでしょうか。主なリスクを見ていきましょう。

最終的には強制撤去されることも

墓じまいを無視してお墓を放置し続けると、最終的にはお墓が強制的に撤去される可能性があります。ただし、いきなり撤去されるわけではありません。一般的には次のようなプロセスを経ます。

  1. 管理費の未納・滞納に関する督促
    まず、お墓の管理者(寺院や霊園など)から管理費の支払いに関する督促が届きます。
  2. 公式な通知・警告
    管理費の滞納が続くと、お墓に立て札が立てられたり、官報に氏名が公示されたりすることがあります。
  3. 無縁墓としての認定手続き
    これらの通知や警告を1年以上無視し続けると、そのお墓は「無縁墓(むえんぼ)」として扱われる手続きが進められます。
  4. お墓の撤去と遺骨の合祀
    無縁墓と認定されると、お墓が撤去され、中に納められていたご遺骨は他の無縁仏と一緒に合祀されることになります。

特に重要なのは、合祀されたご遺骨は二度と取り出せないという点です。お墓の管理者からの通知や連絡を無視すると、取り返しのつかない事態になってしまう可能性があります。

官報に氏名が公示される

管理費の未払いが続くと、お墓の管理者は所有者を探すために官報に氏名を公示することがあります。官報とは、国が発行する機関紙で、法令の制定・改正や裁判関連の情報などが掲載されるものです。

公示されること自体に法的なペナルティはありませんが、社会的な影響は小さくありません。また、これは墓じまい手続きへの最後の警告でもあります。

墓地の管理費は継続的に発生する

お墓を放置していても、墓地の管理費は継続的に発生します。管理費は年間数千円から数万円程度が相場ですが、長期間にわたって積み重なると大きな負担になります。

また、未払いの管理費は、後にまとめて請求されることもあります。そうなると、一度に多額の支払いを求められる可能性もあるのです。

公営墓地や民間霊園では状況が異なる場合も

墓じまいを無視した場合の影響は、お墓がある場所によっても異なります。

  • 公営墓地の場合
    公営墓地では、税金で運営されている関係上、すぐに撤去されることは少ないですが、長期間の管理費未払いは最終的に同じ結果をもたらす可能性があります。
  • 民間霊園の場合
    墓地区画に余裕があれば、すぐに撤去されない可能性もありますが、経営方針によって対応は異なります。
  • 寺院墓地の場合
    寺院との関係性や地域の慣習によって対応が異なりますが、檀家としての義務を果たさない場合、厳しい対応を取られることもあります。

墓じまいを検討すべきケース

墓じまいは誰にでも必要というわけではありませんが、以下のようなケースでは積極的に検討すべきでしょう。

遠方に住んでいてお墓参りが困難

お墓から遠い場所に住んでいる場合、定期的なお墓参りや管理が困難になります。特に高齢になるにつれて、長距離移動の負担は大きくなる一方です。

この場合、現在のお墓を墓じまいして、住んでいる地域の近くに新たなお墓を建てるか、管理の手間がかからない永代供養墓や納骨堂などを選択することも一つの解決策です。

高齢や健康上の理由でお墓の管理が難しい

お墓の手入れには、掃除や水やり、供花の交換など、定期的な労力が必要です。高齢になったり、健康上の問題を抱えたりすると、これらの作業が大きな負担になることがあります。

このような場合は、管理の負担が少ない供養方法に切り替えることで、心身の負担を軽減できます。

お墓の後継者がいない

子どもがいない、または子どもがいても継承の意思がないなど、お墓の後継者がいない場合は、将来的に無縁墓になる可能性が高いです。

そうなる前に、ご先祖様のご遺骨を永代供養墓などに移し、適切に供養することを検討すべきでしょう。

経済的な負担が大きい

お墓の維持管理には、年間の管理費に加え、お墓参りの交通費やお布施代なども継続的にかかります。これらの費用が家計を圧迫している場合は、経済的負担の少ない供養方法への切り替えを検討する価値があります。

子どもや親族に負担をかけたくない

現代では、子どもや親族にお墓の管理を引き継がせることが負担になるケースも増えています。「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、自分の代でお墓を整理する選択をする方も増えています。

ただし、子どもや親族の中にお墓を継ぎたいと考えている人がいる場合は、一方的に墓じまいを決めるのではなく、十分に話し合うことが大切です。

墓じまいの正しい進め方と手順

墓じまいを円滑に進めるためには、適切な手順で進めることが重要です。ここでは、墓じまいの一般的な流れを8つのステップに分けて解説します。

1. 親族の同意を得る

まず最初に、お墓に関わる親族全員の同意を得ることが重要です。特に年配の方は墓じまいに抵抗感を持つことがあるため、墓じまいを考える理由や今後の供養方法について丁寧に説明し、理解を求めましょう。

合意形成なしに墓じまいを進めると、後々トラブルに発展する可能性があります。

2. お墓の現状を確認する

墓じまいを進める前に、以下の点を確認しておきましょう。

  • お墓に納められているご遺骨の数(何柱あるか)
  • お墓の大きさや構造
  • 土葬されたご遺体があるかどうか
  • 管理費の未払いがないか

これらの情報を事前に把握しておくことで、墓じまいの具体的な計画を立てやすくなります。

3. 墓じまいを申し入れる

親族の同意を得て現状確認ができたら、お墓の管理者(寺院や霊園など)に墓じまいの意向を伝えます。この際、一方的に通告するのではなく、これまでのお礼を述べつつ、墓じまいを考えるに至った経緯を丁寧に説明することが大切です。

管理者によっては、独自の規則や手続きがある場合もあるため、必要な手続きや書類についても確認しておきましょう。

4. 新たな納骨先を決める

墓じまい後のご遺骨の安置先について検討します。主な選択肢は以下の通りです:

  • 新しい墓地に改葬する
    住まいの近くなど、管理しやすい場所に新しいお墓を建てる
  • 永代供養墓に納める
    寺院や霊園が永代にわたって供養してくれる合同墓地に埋葬
  • 納骨堂を利用する
    室内施設でお墓よりも手軽に参拝できる
  • 樹木葬や自然葬を選ぶ
    自然に還る形で供養する方法
    樹木葬について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
  • 手元供養を行う
    ご遺骨の一部を小さな骨壺やペンダントなどに入れて手元に置く
  • 海洋散骨などを行う
    業者に依頼し、海洋散骨を行う
    海洋散骨について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

どの方法が適切かは、ご先祖様の意向や親族の考え、予算などを考慮して決めましょう。

5. 墓じまいを専門業者に依頼する

墓石の撤去や墓地の整地作業は、専門的な知識と技術が必要です。複数の石材店や墓じまい専門業者から見積もりを取り、サービス内容や費用を比較検討した上で依頼しましょう。

信頼できる業者を選ぶためには、以下の点をチェックするとよいでしょう。

  • 墓じまいの実績や経験が豊富か
  • 見積もりが明確で、追加料金の有無がわかりやすいか
  • 必要な手続きのサポートも行ってくれるか
  • 口コミや評判はどうか

6. 改葬許可証を取得する

ご遺骨を現在のお墓から取り出して移動させるためには、「改葬許可証」が必要です。これは、現在お墓がある自治体の役所で申請・取得します。

申請には以下の書類が必要です。

  • 埋葬証明書:現在のお墓の管理者が発行
  • 受入証明書:新しい納骨先の管理者が発行
  • 申請者の身分証明書

改葬許可証なしにご遺骨を移動させることは法律違反となるため、必ず手続きを行いましょう。

7. ご遺骨を取り出す(閉眼供養)

お墓からご遺骨を取り出す際には、「閉眼供養」という儀式を行います。これは、墓石から故人の魂を抜き取るための儀式で、通常は僧侶に読経してもらいます。

菩提寺がある場合はそちらに依頼し、ない場合は墓地管理者や施工業者に相談して手配してもらいましょう。

8. 墓地を管理者に返還し、新たな供養を始める

最後に、墓石の撤去と墓地の整地が完了したら、墓地を管理者に返還します。この際、管理費の未払いがある場合は清算しておきましょう。

そして、取り出したご遺骨を新たな納骨先に移し、「開眼供養」という魂入れの儀式を行います。これで墓じまいの一連の手続きは完了です。

墓じまいにかかる費用相場

墓じまいにかかる費用は、お墓の大きさや場所、供養方法によって大きく異なりますが、一般的な相場は30万円〜300万円程度です。内訳として主に以下の費用が発生します。

墓石の撤去・処分費用(10万円〜100万円)

墓石の撤去・処分費用は、墓石の大きさや材質、アクセスの良さなどによって変わります。一般的な目安として、1㎡あたり10万円程度かかると言われています。

例えば、一般的な和型墓石(1〜2㎡程度)であれば10万円〜20万円、大きな洋型墓石や家族墓(3〜5㎡程度)であれば30万円〜50万円程度になることが多いです。

供養関連の費用(5万円〜20万円)

墓じまいにあたっては、以下のような供養関連の費用が発生します。

  • 閉眼供養のお布施:3万円〜5万円
  • 離檀料(寺院墓地の場合):3万円〜20万円
  • 開眼供養のお布施(新たなお墓に移す場合):3万円〜10万円

行政手続きの費用(数百円〜2,000円程度)

改葬許可証の申請や各種証明書の発行には、自治体によって異なりますが、数百円〜2,000円程度の手数料がかかります。

新たな納骨先の費用(5万円〜250万円)

墓じまい後のご遺骨の供養方法によって、以下のような費用が発生します。

  • 永代供養墓:5万円〜150万円
  • 新しい一般墓:80万円〜250万円
  • 納骨堂:10万円〜150万円
  • 樹木葬:20万円〜80万円
  • 散骨:5万円〜70万円
  • 手元供養:1万円〜10万円

これらの費用は、地域や施設によって大きく異なりますので、複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。

墓じまいの準備チェックリスト

墓じまいを進める際に、忘れがちな手続きや確認すべき事項をまとめました。このチェックリストを参考に、墓じまいの準備を円滑に進めましょう。

事前準備

・親族全員への説明と同意取得
・現在のお墓の管理状況の確認
・管理費の未払いがないか確認
・お墓に納められているご遺骨の数(何柱あるか)の確認
・土葬されたご遺体があるかどうかの確認

お墓の管理者への連絡

・墓じまいの意向を伝える
・必要な手続きや書類についての確認
・お墓の撤去時期の相談
・離檀料が必要かどうかの確認(寺院墓地の場合)

新たな納骨先の検討

・供養方法の検討(永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など)
・複数の施設の資料取り寄せと比較
・見学予約と現地確認
・納骨先の決定と契約

業者選定と見積もり

・複数の墓じまい専門業者から見積もり取得
・サービス内容の比較検討
・業者の選定と契約
・墓じまいの日程調整

行政手続き

・埋葬証明書の取得(現在のお墓の管理者から)
・受入証明書の取得(新しい納骨先から)
・改葬許可証の申請(市区町村役所で)
・その他必要書類の準備

供養の準備

・閉眼供養の日程調整と僧侶の手配
・お布施の準備
・開眼供養の日程調整(新たなお墓に移す場合)
・墓じまい当日の段取り確認

墓じまい後

・墓地の返還手続き
・未払い管理費の清算(ある場合)
・新たな納骨先での供養開始
・親族への報告

このチェックリストを活用して、漏れのない墓じまいの準備を進めましょう。不明点があれば、専門業者や寺院、自治体の担当窓口に相談することをおすすめします。

まとめ 墓じまいは先延ばしにせず専門家に相談を

墓じまいは、お墓の維持管理が困難になった際の選択肢の一つです。無視し続けると最終的にお墓が強制撤去され、ご遺骨が合祀されてしまうリスクがあります。

「ご先祖様のお墓を撤去するのは申し訳ない」という気持ちは理解できますが、管理できなくなったお墓を放置することで無縁墓となり、荒れ果てた状態になるほうが、ご先祖様にとっても本意ではないでしょう。

墓じまいは複雑な手続きを伴うため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。墓じまい専門業者は、行政手続きや業者の手配、親族や管理者との調整など、あらゆる面でサポートしてくれます。

信頼できる業者に相談し、ご先祖様と故人への敬意を保ちながら、将来にわたって適切な供養ができる方法を選びましょう。

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