海洋散骨は近年、供養方法として注目を集めています。お墓の管理の負担がなく、自然に還るという環境面での配慮、そして費用が比較的抑えられるという理由から選ぶ方が増えてきています。海洋散骨の費用は一般的なお墓を購入する場合と比較すると10分の1程度で収まることも魅力の一つです。
しかし、まだ社会に十分浸透していない供養方法であるため、知識不足から思わぬトラブルに発展することも少なくありません。海洋散骨は魅力が多い反面、浸透が浅いためトラブルが起こることも少なくないのが現状です。
以下のようなことでお悩みの方にとって、この記事は特に参考になるでしょう。
■海洋散骨でのトラブルが心配
■海洋散骨で起こりうるトラブルを知っておきたい
■他の海洋散骨業者と比べてどんな特徴があるのか知りたい
■費用がどのくらいかかるのか、明確に知りたい

この記事では、海洋散骨で実際に起こりうるトラブル事例とその解決法を紹介し、後悔しない海洋散骨を実現するためのポイントをお伝えします。
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遺族・親族間で起きるトラブル
海洋散骨を選ぶ際に最も注意すべきなのが、遺族や親族間での意見の相違によるトラブルです。
散骨に対する反対意見
故人が海洋散骨を希望していても、遺族や親族全員が賛成するとは限りません。「お墓参りできなくなる」「故人が形として残らないのは寂しい」などの理由から、遺族や親族から散骨自体を反対されることがあります。特に先祖代々からのお墓がある場合、「なぜお墓に入れないのか」と散骨に疑問を持たれることもあるでしょう。
このような反対意見を無視して海洋散骨を強行すると、親族間の溝が深まり、将来的に大きなトラブルになることがあります。故人の希望を伝えつつも、反対する家族の思いにも耳を傾け、丁寧な話し合いが必要です。
墓じまいをめぐるトラブル
「お墓の管理が難しい」という理由で墓じまいを検討し、海洋散骨を選ぶケースもあります。しかし、墓じまいは個人の独断で行うものではありません。お墓は一族代々で管理するものです。親族の納得を得ずに墓じまいをすると、トラブルになるリスクがあります。
特に複数の先祖が眠るお墓の場合は、関係する親族全員でしっかり話し合い、同意を得ることが大切です。
遺骨全量散骨の問題
故人の希望を叶えるために遺骨をすべて散骨してしまうと、後になって「形に残るものがない」と後悔することがあります。遺骨をすべて散布する必要はなく、遺骨の一部を手元に残して手元供養をする人や、納骨と散骨を一緒に行う人もいます。
また、遺骨そのものを加工してアクセサリーに収容することや、宝石のようなカタチに整えて保管することも可能です。
一部の遺骨を手元に残しておくことで、自宅でのお参りができるほか、将来的に考えが変わった場合の対応も可能になります。
お墓参りができなくなる不安
「お墓参りができなくなる」ことも、海洋散骨を躊躇う理由のひとつです。海洋散骨はお墓を持たない供養方法であるため、命日やお盆にお墓参りや献花ができないというデメリットがあります。
この不安を解消するために、散骨した海に面した場所に小さな慰霊碑を建てたり、自宅に故人の写真や位牌を置くスペースを設けたりする方法があります。
また、散骨した場所の位置情報を記録しておき、その海に向かってお参りするという新しい形の供養方法も検討できます。
業者選びで起きるトラブル
海洋散骨には船の手配や遺骨の粉骨などが必要なため、専門業者に依頼するケースがほとんどです。しかし、業者選びを誤ると、大切なセレモニーが台無しになるだけでなく、金銭面でのトラブルに発展することもあります。
ルールやマナーを守らない業者
海洋散骨には守るべきルールがあります。遺骨を遺骨と分からない程度(1mm~2mm程度)に粉末化することや、自然に還らないものを副葬品にしないこと、適切な場所で散骨することなどが求められます。
経験の浅い業者や、コストカットを優先する業者に依頼した結果、これらのルールが守られずトラブルになることがあります。業者選びの際は、海洋散骨の実績や口コミをしっかりと確認し、きちんとした業者に依頼することが大切です。
天候不良による延期問題
海洋散骨は船で沖合に出て執り行われるため、海が荒れていたり、強風だったりすると出航することができません。セレモニー当日の気象によっては変更になることを念頭において、計画を立てる必要があります。
業者との契約時には、天候不良時の対応について事前に確認しておくことが重要です。延期になった場合の費用や、合同セレモニーになる可能性についても、明確な説明を求めましょう。
業者の倒産リスク
故人が生前に散骨を依頼していた業者が、いざ海洋散骨を実施しようと連絡したら倒産していたというケースも報告されています。信頼できる業者であれば、倒産後に他社に予約を引き継いだり、返金したりする対応をしてくれるでしょう。
業者選びの際は、設立年数や実績、口コミなどを確認し、信頼性の高い業者を選びましょう。
予想外の追加料金
基本料金内に含まれていたと思っていた内容が、実はオプション料金だった…ということもよくあるトラブル事例。当日になって追加料金が必要になってしまうことがないように、契約時に費用の内訳を確認しておくことが大切です。
また、海洋散骨は、通常、海辺から離れた沖合に出て行います。散骨料金とは別に、散骨場所までの移動料金などを取られるケースが散見されます。そのようなことがないよう、見積もりはしっかりとって、納得のいく説明を受けてから散骨を依頼することをおすすめします。
法令や地域との関係で起こるトラブル
海洋散骨は法的には認められていますが、場所や方法によっては問題が発生することがあります。
散骨場所に関するトラブル
海洋散骨そのものは違法ではありません。しかし、散骨できる場所には制限があります。 人が立ち入ることができる陸地から1海里以上離れた海洋上のみで散骨する必要があります。
また、河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地、海岸・浜辺・防波堤、漁場・養殖場・航路、それらの近辺での散骨は避けるべきです。これらの場所で無断で散骨を行うと、近隣住民や関係者とのトラブルに発展する可能性があります。
菩提寺とのトラブル
相談もなく勝手に墓じまいし、散骨を選ぶことを快く思わない菩提寺もあるでしょう。「長年の付き合いがある菩提寺に相談せず海洋散骨をして、ご住職に怒られた」「海洋散骨をしたら、菩提寺から高額な離檀料を請求された」というトラブルもゼロはないため、注意が必要です。
現在お世話になっている菩提寺がある場合は、海洋散骨を検討していることを事前に相談しておくことをおすすめします。できれば海洋散骨を希望する方自身が生前から相談に行くことで、理解が得られやすくなります。
後悔しない海洋散骨を実現するためのポイント
海洋散骨は大切な方をお見送りするセレモニーです。故人との最後のお別れをより良い形で迎え、後悔しない海洋散骨を実現するためのポイントをご紹介します。
一部の遺骨は手元に残す
先述したように、遺骨をすべて散骨してしまうと、後々「故人を偲ぶよりどころがない」と後悔することがあります。遺骨の一部を手元に残しておけば、自宅供養ができるほか、将来的に考えが変わった場合に先祖代々のお墓に納めることも可能です。
故人の希望を叶えつつ、遺族の心のよりどころも確保する、そのバランスを考えることが大切です。
親族間での丁寧な話し合い
散骨をするにあたり、ご本人の気持ちはもちろん大切です。しかし、残された家族の気持ちも、同じように大切なものなのです。どんなにご本人が強く散骨を希望されていたとしても、もし親族の中に反対する人がいるのなら、理解してもらえるまでしっかり話し合うことをおすすめします。
海洋散骨に関する正しい知識を共有し、誤解を解くことも大切です。最終的には全員が納得する形で決断することが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。
菩提寺への配慮
現在お世話になっている菩提寺がある場合は、事前に報告をしておきましょう。全てお墓に納骨するか、全て散骨するのか、といった極論ではなく、分骨というカタチをとってそれぞれの意見や希望を反映することも可能です。
長年お世話になった感謝の気持ちを伝え、散骨後もお参りに行くという姿勢を示すことで、理解が得られやすくなります。
信頼できる業者選び
値段が一番安い業者にしようと安易に決めてしまうと、悪徳業者を選んでしまう可能性もあるため注意が必要です。業者の選び方においては、公式サイトや口コミサイトなどを確認することも重要です。口コミサイトでの評価や、公式サイトでの対応などを参考に、信頼できる業者を選ぶことができる。
契約前には必ず、含まれるサービスや追加料金が発生するケースについて確認しておきましょう。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することも大切です。
マナーとルールの遵守
海洋散骨のセレモニーがスムーズに進むよう、事前の準備と情報収集を怠らないことも重要です。散骨の際には、故人を想って花びらを撒いたり、祈りを捧げたりすることが一般的です。ただし、その他の物は漂流ごみになってしまうため、まかないように注意しましょう。散骨の場所は、一般的には人通りの少ない海域を選びます。また、周囲に迷惑をかけないように、他の船や漁師のいる場所では散骨しないようにしましょう。
マナーとルールを守ることで、故人を敬う気持ちを表すとともに、社会の理解を得るための基盤となります。
まとめ
海洋散骨は、従来のお墓に代わる新しい供養方法として注目を集めています。費用面でのメリットや、自然に還るという考え方から人気が高まっていますが、知識不足や準備不足から思わぬトラブルに発展することもあります。
遺族や親族間での意見の相違、業者選びの失敗、菩提寺や近隣住民とのトラブルなど、様々なリスクが潜んでいます。これらのトラブルを未然に防ぐためには、正確な知識と丁寧な準備が欠かせません。
親族間での十分な話し合い、一部の遺骨を手元に残すという選択肢、信頼できる業者選び、菩提寺への配慮など、ポイントを押さえることで、後悔のない海洋散骨を実現することができます。
大切な方との最後のお別れが、心に残る美しいセレモニーとなるよう、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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